所得補償保険の豆知識
病気や怪我で入院し、収入が減った場合はどうしたらいいでしょうか。特に住宅ローンを抱えていたり、お子様の教育費用が必要だったりすると、収入の目減りは深刻な悩みとなります。加入されている生命保険でカバーできる場合は心配いりませんが、すべてのケースで万全というわけではありません。
このような場合に「所得補償保険」に加入しておくと、万が一の場合も不安は少なくて済みます。
所得補償保険とはどのような保険なのでしょうか
所得補償保険は病気や怪我によって働けなくなった結果として就業不能になった時、休業中の収入を補償してくれる保険です。入院時だけでなく、治療のため自宅療養(医師の診療を受けていることは必要です)する期間も補償されますので、もしもの際には強い味方になります。
ただし、所得が補償されるといっても収入のすべてが補償されるわけではありません。加入の際に1ヶ月の保険金額を設定しますので、この「保険金額×就業不能日数」分の保険金分だけが受け取れます。この保険金額は「年収、年齢、職業」によって異なりますので、申し込みの際にご確認下さい。
開業医の先生に限らず、勤務医の先生にとっても、この所得補償保険は大変役に立ちます。実際、「過酷な勤務で体調を壊し、さらにうつ病まで併発したため、1年間病院を休んだ先生が、現場復帰するまで生活費は全く心配なく、ゆっくり病気治療に専念できた」という事例が報告されています。
所得を補償する保険には「長期障害所得補償保険」もあります
所得を補償する保険としては「長期障害所得補償保険」もあります。ただし、通常の所得補償保険と長期障害所得補償保険には大きな違いがありますので、この違いを理解しておく必要があります。
所得補償保険と長期障害所得補償保険の違い
通常の所得補償保険は補償期間が1年間ですが、長期障害所得補償保険ではこの補償期間が長く設定されています。例えば弊社の長期障害所得補償保険では、最長5年間補償を受けることができますので、例えば、「収入を得ていた人が長期就業不能となってしまい、生活費と医療費がかさむケース」等ではより大きな補償を受けることができます。
免責期間(就業不能発生後、てん補期間開始までの保険金が支払われない期間)を比較してみますと、通常の所得補償保険が数日程度と短いのに対し、長期障害所得補償保険では数か月以上と長くなっています。入院した人の95%は3か月以内に退院しているとも言われていますので、長期障害所得補償保険は「病気やけがで長期治療が必要になった場合」に備えるための保険ということができます。
万一のための備えは大切ですね。安心して働き生活できるためにも、「所得補償保険」は「医師賠償責任保険」の次に必要な保険かもしれません。
所得補償保険へ加入する必要性
病気や怪我で休職する場合、就業中のアクシデントが原因であれば労災保険の「休業補償給付」が、就業と関係のない場合には健康保険の「傷病手当金」が公的補償として支給されます。そのため、所得補償保険に加入する際には、毎月の所得と給付金との差額を保険金でカバーできるように、保険金額を設定していかなくてはなりません。
では、公的給付はどのような条件で支給されるのでしょうか。
健康保険の「傷病手当金」
傷病手当金は、健康保険の被保険者が病気や怪我のために働くことができず、会社を休んだ日が連続して3日間あった場合に、4日目以降休んだ日数に対して支給されます。支給期間は1年6ヶ月ですが、その間に一旦復職し、同じ病気で再度休職した場合でも、最初に支給が開始された日を起算日として計算されますので、支給満了日が延長されることはありません。
また、手当金の金額は標準報酬日額の3分の2に相当する額になりますが、事業主から報酬の支給を受ける場合等にはその金額が減額されて支給されます。ちなみに、国民健康保険に加入されている場合には、傷病手当の支給を受けることはできません。
労災保険の「休業補償給付」
業務上の負傷または疾病によって働くことができなくなった場合には、1日につき給付基礎日額の60%相当額の休業補償給付、及び20%相当額の休業特別支給金が支給されます。この場合も傷病手当金と同様に3日間の待機期間がありますので、実際に受け取ることができるのは4日目以降となります。支給期間は1年6ヶ月ですが、この期間を過ぎても完治しない場合には「傷病補償年金」に切り換えられます。
実際に必要な補償額は?
このように見てみますと、労災保険の「休業補償給付」と健康保険の「傷病手当金」では多少の違いこそありますが、療養中の所得は20~40%近く減ってしまうことになります。そのため、「休職前の所得と公的補償の差額をカバーし、生活水準を落とすことなく安心して療養に専念できるようにするため」には、この不足分を補う内容にしなければなりません。
また、自営業者のケースでは、これらの公的補償を受けることのできないケースもあります。そのため、十分な補償を受けたいとお考えの場合は、所得補償保険の「経営者向けプラン」に加入することも選択肢の一つになります。
公的保障だけでは安心して生活をしていくことができません。所得補償は安心して治療に専念できるための保障をしてくれますので、万が一のための生活の保障は生命保険同様大切な保障になります。
「所得補償保険」の経理処理について
所得補償保険に加入するメリットは、「万が一の際に補償を受ける事ができる」だけではありません。事業主の方が従業員のために支払う掛け金は必要経費となるので、上手に活かせば税負担の軽減効果を得る事もできます。ただ、加入条件によって経理処理の方法が異なるので、「どのようなメリットを期待して加入するか」という点をあらかじめ明確にしておく必要があります。
<<ケース1保険契約者が法人>>
保険契約者(保険料を負担する方)が法人の場合、誰が「被保険者」になるのかによって経理処理の方法が異なってきます。例えば、全従業員を「被保険者」とする場合は、福利厚生費として「損金」へ算入する事ができますが、一部の従業員を「被保険者」とする場合は、福利厚生費の対象ではなくなり、被保険者への「支払給与」だけになります。また、役員だけが加入している場合は、「支払った保険料が報酬とみなされる範囲」で「損金」として算入できますが、賞与と認定されると損金に算入する事ができません。
<<ケース2保険契約者が個人事業主>>
保険契約者が個人事業主の場合も、法人のケースと同じ経理処理を行いますが、個人事業主が自ら「被保険者」となった場合は、業務に必要ない支出とみなされるので、必要経費に算入する事ができません。この場合は、事業主本人の生命保険料控除の対象となるので、確定申告で申請する必要があります。
<<ケース3保険契約者が個人>>
契約者ご本人が個人として加入する場合、生命保険料控除の対象となります。
※注意今回紹介した方法はあくまでも一般的な目安です。状況によって異なる判断をされる場合があるので、税務処理を行う場合は税理士に確認されたほうがいいでしょう。
「所得補償保険」のドクタープランについて
所得補償保険の特徴の一つは、「ドクタープラン」が用意されている点です。特に開業されている先生のなかには、長期間に渡って収支計画を立てた上で開業されている方も少なくないでしょうが、ご自身が診療できなくなってしまった時のために、「医療機器のリ-ス費用」や「代診の先生の報酬費用」に充てる資金を準備しなくてはなりません。所得補償保険はそれらの出費をカバーする保険としても注目されています。
勤務されている先生も同様です。勤務先の病院で加入している保険や健康保険でカバーされる部分もありますが、個人で加入しておけば、安心して長期間、病気療養することができます。
